名古屋鉄道

名古屋鉄道 8800系「パノラマカーDX」

1次車 


佐屋駅にて 05/01/16撮影

2次車 


蒲郡駅にて 

ヘッドマークには白地に「パノラマDX」と文字が入っていました。


佐屋駅にて 05/01/16撮影

1984年に犬山地区や南知多地区への観光輸送を目的に「パノラマDX」の愛称で登場した車両。
当初は2両1編成であったが、1989年には中間車1両を増備して、3連化を果たしている。
その際に改造も行われているが、一番判りやすい1次車と2次車の判別としては、
2次車では展望席用のワイパーが取付られているのが、外観からの基準ではないでしょうか。
最終的には団体運用専用の1編成(8807F)を除いて佐屋←→吉良吉田/蒲郡の特急とし活躍しました。


引退間際の定期運用に掲げられたヘッドマーク3種類です。

左が三角の黄色マークの入った「Last Memory」号
中央がピンクにハートマークの入った「Last Memory」号
右が黄緑色の台地のマークの入った「Last Memory」号



外観側面で気になったのは右手の中間車の窓枠がちょっと間隔を置いていること。
実はここには登場時には4人用個室が有ったため、オープンエアーの客室とは別であったとのこと。

なお、車両配置は以下の通りです。

←(吉良吉田寄)1号車+2号車+3号車(佐屋寄)→



<中間車>

1次車・2次車

中間車は1・2次車ともほぼ同じの仕様のためまとめて紹介します。


まずは中間車から行きましょうか。
左右には表地が基本グレー色のフリーストップリクライニングが展開しています。
特急車らしく床には絨毯が敷かれており、腰掛表地の配色とともに落ち着いた雰囲気を感じます。
さらに天井と荷物棚のそれぞれの間接照明がさらにそんな雰囲気を醸し出します。
ただこの車両の製作時はまだ意識が低かったのでしょうか、通路は車椅子が通れないちょっと狭い幅。


妻部に近付いてみました。もともと個室があった部分から端部には窓がありません。
嘘みたいな本当の話ですがほんとに壁!です。(^^;
デッキへと続く扉は磨りガラスの波模様入り。知多半島へ行っていたころの海を意識したのでしょうか。
そしてその高さのある扉のお陰で情報案内表示器は左手の壁に追いやられています。見づらいかも。


窓の位置に合わせて荷物棚の間接照明も設けられています。凝ってますね。
なおカーテンは名鉄の車両らしくもちろん伝統の布地でした。


あっ、通路上の照明も窓枠に合わせているんですね。


1000系などに比べて実はリクライニング角度も深いこの2人掛リクラシート。
リクライニングするにはヒジ掛のレバーを引くことで調整が可能な仕様となってます。
背面にはテーブルこそないのですが、アミ袋があり足掛も設定されています。


1号車方向の妻部には1人掛腰掛が配置されていました。よかったここに車椅子の方への配慮が有りました。


こちらがその1人掛腰掛。2列にわたって設置されています。
車椅子の方を想定して、1人掛をここに置くことでその空間を確保しているものだと思うのですが、
腰掛そのものは2人掛となんら変わらない同じ仕様の腰掛で、車椅子を固定するベルトとかなんもないんです。

では中間車デッキへと出てみます。


先ほどの扉をデッキ側から見るとこんな感じ。デッキ側からは客室内は磨りガラスのお陰で見えないんですね。
左手に見えるのは大きな鏡。名鉄では通勤車両にも鏡は出入口付近に設置されていますが、大きい。


デッキから外へ出る扉は内側への折り戸となっています。開閉時には注意が必要です。
左手にはくず物入れが設置されていますね。ちょっと低い位置はやや入れづらいか。消火器もここです。


上記のイラストではなくて、往年のくず物入れと書かれた編成もあります。


客室と反対側へと続く通路の左右にトイレなどのユーティリティが設定されています。
実はこの中間車が増結される前はトイレ設備はこの8800系にはなかったそうですね。


1号車方向に向かって左手が和式のトイレとなっています。扉は引き戸です。


トイレの反対側はちょっと狭いけど洗面台コーナーとなっています。
立派にハンドドライヤーもついた豪華な仕様。カーブの多い名鉄ならではか、手摺も完備。



<先頭車>


それではトイレと洗面台の間を抜けて1号車へと入って行きましょうか。
1号車にすぐあるのは業務用のスペースで、扉が左右についており乗務員はここからも乗降することができます。
もちろん扉だけではなくて、車内放送のための機器やほか営業運転上必要な機器が集まっております。


そして続く空間が3人掛のソファーが置かれた寛ぎの空間。このあたりは観光輸送を主眼に置いた新製時の思想が見えます。
妻壁は6800系などと同じ渋柿色の濃い木目調。落ち着いた配色に空間に落ちつきを与えています。

1次車



はい。ソファです。(^^;編成によってちょっと表地の色は異なります。
座り心地はまあ、ソファーでしょうか。長時間座るものではないですね。
3人掛となっていてそれぞれの間にあるヒジ掛はどうやら箱型の枠の表地が張ってあるだけのようです。
ただ良く見ると枕カバーも変わった形をしていて、遊びの感覚を取り入れています。

2次車


2次車では仕様は同じですが中間車と同じ表地が使われています。


ちょっと見過ごしやすいのですが、収納式のテーブルが実は壁に隠されていました。
壁に収納されているのを引き出したのがご覧の通りです。ソファーに座って観光輸送時は寛いでいたのかな。


ソファーの上には大きな1枚窓。これにソファーの背ズリの高さを合わせているんですね。


もちろん窓の上には荷物棚も設けられています。


上の空間を出た方向から逆に見ています。こうやって見るとデッキ部分と客室部分の化粧板の違いがとても有ります。


空間毎に電光情報案内器が出入口上部に設置されています。空間が細切れだから大変ですね。


ソファーとソファーの空間の間にあるデッキ空間。折り戸の扉が設けられています。
しかし乗降は確かにしやすいのですが、冬場はデッキとの扉がないため寒いんですよね・・・ここ。


ちょっと今度は逆に中間車を通り抜けて3号車の先ほどの間のデッキから妻部方向を見ています。


妻部には業務員スペースがない代わりに自動販売機が置かれています。向かいには以前は電話も有りました。


右手が電話室ですね。ちょっと照明に注目して下さい。実は1次車と2次車で異なるんです。

1次車


2次車


2次車になると完全なカバーではなく、間接照明ぽくなってますね。



それでは個室が並ぶ空間へと進みましょうか。

1次車


では全景から。左右に腰掛から上はガラスで仕切られた個室が左右に並びます。
左手の写真は1号車だと吉良吉田方向、3号車だと佐屋方向を見ていることになり、
右手の写真は1号車だと佐屋方向、3号車だと吉良吉田方向を見ていることになります。


このように個室上部はガラスの仕切りが天井近くまで仕切っております。
そのガラスに上部には舞い踊る花、下部のほうは浜辺になっていて貝の姿が見られます。


天井は中間車とも変わらないですね。あ、こちらが先の製作の車両か。


2人用の個室側を覗いてます。左右に1人掛の固定腰掛が設置されています。
ところで真中のテーブルを見てみて下さい。実はこれ斜めになった部分に缶受が隠されてるんです。
350ml缶を置けるほどの穴の空いた受けが出てきます。なんか仕様が素朴でいいですね。


2人用の個室はやや斜め窓方向に向けて角度を変えることのできるリクライニングシート。
座り心地はうーん。素晴らしいとは言い難いものかな。でもシートピッチは広くて寛げますよ。
仕様的にはのっぺりとした背・座。肘掛通路側にも表地で装飾が施されています。


4人用個室側のテーブルは壁側に収納された折り畳み式のちょっと長めのテーブルです。


腰掛は完全なる固定腰掛で、背ズリ角度も結構直角に近いかな。ボタン状の装飾は印象的です。
けど枕は着座する人の座高の高さに合わせて上下に動かすことができるんですよ。

2次車


まずは個室を仕切るガラスに注目。1次車ではイラストの入ったクリアなガラスであったのに、
2次車では単なる磨りが入ったガラスへと変更されています。あれ?


2次車での最大の特徴はなんと言っても2人用個室の代わりに大柄の1人掛腰掛が1列に並んでいること。


で、その腰掛はJRでのグリーン車用腰掛と同等の大きさの腰掛。
特に背ズリが大きくてここに座ると、後ろから座っても完全に体は見えません。
もちろん窓側に斜めに角度を向けることが可能となっています。
あと私はいいと思ったのが枕。これ以外にふんわり柔らかで短い時間でも熟睡できそうです。



パノラマ席へと登ります。


デッキから続く階段を上がるとそこにはパノラマ席が有ります。


なかなかの傾斜角なのか、よく見ると腰掛側ヒジ掛に手摺が設けられていました。


まずはパノラマを楽しんで頂きましょうか。当然ここにも電光表示器が取り付けられています。

1次車


パノラマの前の折り畳みのテーブルはこんな感じ。

2次車


2次車ではテーブルが省略されてしまいました。


天井の照明は迫る天井のためか左右の荷物棚の間接照明のみです。

1次車


腰掛はベンチシートみたいな中ヒジ掛のない仕様。背面のテーブルがぽとんと落とす仕掛けで、
使うときはこれを上に手で持ち上げて手前に倒して使います。なるほど。
あとこれをやっている人見たことないけど枕部が回転して上に持ち上げることができます。
やること自体が面倒だし、操作感が硬めだし、それにこれやると前面展望が後部座席の人は悪くなりますね・・

2次車


2次車になって前2列の腰掛はちょっと大型化されました。そして背面のテーブルはパタンとしまう収納式へ。
車両新製当時は5列だったそうなんですが、のちに4列に減らされています。
なおこの前2列の腰掛は最初から枕を回転することができない仕様だそうです。細かいなぁもう。



8800系パノラマ席に座って蒲郡駅発車!(1分23秒) ダウンロード[8800gamagoori-start.ra(153KB)]




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